ある小学6年の夏、初めて”死”について知りたいと思った3人の男の子と、もうすぐ死ぬんじゃないかと噂されていた一人暮らしのおじいさんを見張り始める。 3人の少年と孤独な老人とのかけがえのない夏を描く。
和製スタンド・バイ・ミーのよう・・・と本屋の宣伝で書いてあったので、ただスタンド・バイ・ミーが懐かしく思えて思わず買ってしまいました。
最初は興味だけでおじいさんを見張り始めていたものの、おじいさんと会話を交わすようになってからは”死”のことなんて考えもせず、ただただ楽しい夏休みを送る少年達。
おじいさんも、初めは迷惑がっていてかもしれないけど、毎日見張りにきていたのに来なかった日があって、その日は道を歩くおじいさんは何かを探しているかのようにキョロキョロ。
いつの間にかおじいさんも、見張られていることがどうのではなく、誰かに気にかけてもらえてることが嬉しかったんだと思いました。
ボロ小屋のようだった家が、いつのまにかキレイになり庭にはコスモスが植えられ、いつも1人だった部屋にはいつしか座布団が4枚用意されていたり。
淋しかったんだろうな、と思いました。
そもそもの動機は不純だったとしても、おじいさんにとっては孤独から救ってくれた唯一の存在だったんだと思います。
↓↓ネタバレ↓↓
『 サッカー合宿に行っていた3人が帰って来ておじいさんの家に行った時に目の当たりにした”死”。 もう、そんなことは誰ひとり望んでいなかったであろう、おじいさんの死がそこにありました。
何が悲しかったかって、部屋にはいつものように座布団が4枚用意してあり、果物も4人分用意されていたことでした。
誰が悪いわけでもないけれど、後悔せずにはいられなかったんじゃないでしょうか、たとえ小学生でも。 でも、おじいさんと過ごした夏のことは一生忘れられない思い出になったんです。
あぁいう風に行った時には既に遅かったのと、最後まで看取るのと、どっちが辛いだろう?(小学生の彼らにとって) そんなことを考えました。 』
↑↑ネタバレ↑↑
おじいさんにしたら急に孫が3人もできたようなものだし、子供達にしても老人との会話だなんてとお互いに戸惑いを感じながらも少しずつ距離が近づき、彼らの間に何らかの絆が芽生えてくるという。
物語の中で確実に成長していく子供達の姿や、孤独から救われたおじいさんの姿が微笑ましいです。
そして、その中にある物語のテーマである”死”について。
最後には涙がポロリとこぼれました。
なかなか読みやすいです。